63. 自ら望みどおり行動する人が本当の人間関係をもつ(『愛されなかった時どう生きるか』)

『愛されなかった時どう生きるか』より

人間は他人にウソをついても破滅しないが、自分にウソをついたら破滅する。そして見捨てられる不安から人は自分にウソをつく。実際はそんな人間でないのに、そんな人間と思い込もうとする。
 
自分が本当は何を望んでいるのか、ということについてウソをつく人は破滅する。自己実現している人は、その点についてウソをつかない。
 
だからこそ自己実現して魅力的な人と、規範意識過剰で生気のない人と違うのである。
 
よく悪の魅力、ということを言う。私は悪そのものが魅力あるとは思わない。魅力のある人というのは善悪をこえて自分の望むものに正直なのである。それだけ根源的に生に近いということであろう。
 
悪が魅力あるわけではなく、自然の姿が魅力あるということではなかろうか。そして自然の姿と規範とは必ずしも一致しない。
 
魅力のある人というのは自由放奔に生きている人なのである。規範意識は肥大化していない。それだけに時に悪いこともする。しかし同時に、規範意識の肥大化した人などには考えられないような善いこともする。
 
寛大に深く人を愛するし、徹底的に敵とは戦う。彼らは他人に認めてもらうために規範に従っているのではなく、自ら望むことが規範に一致しているがら規範どおりに行動しているだけである。
 
だからこそ彼らのもっている人間関係は本物なのである。

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