オオカミとライオン

「オオカミがあるとき、草をたべているヒツジをさらって、じぶんのうちに運んでいきました。とちゅうでライオンがこれを見て、ヒツジをうばいとってしまいました。
オオカミは遠くのほうからいいました。

『わたしのものをとるなんてひどい。』

すると、ライオンは笑っていいました。

『じゃあおまえは、ちゃんと友だちからもらったのか。』

会議などで立派なことを言うが、なかなか影響力を持てない人がいる。それは皆がその立派なこという人の日頃の態度を知っているからである。自分のことを棚に上げて人のことを責めていても、なかなか皆が賛成に回ってくれない。そこで腹をたてる。しかし腹をたてるほうが間違っているのである。
 
腹をたてる人は自分の言っていることが正しいとばかり思っているから、「こんなに正しいことを言っているのに、通らない」と怒る。しかし皆はその正しいことを誰が言っているかを見ているのである。
 
日頃ずるく立ち回っていて、会議で正しいことを言っても人は動かない。日頃、当然の責任を逃げていて、相手の責任を追及しても、相手にされない。
 
「こんなに正しいことを言っているのに、」と怒りを感じるときには、自分はオオカミではないかと反省して見ることである。
 
「私はこんなに立派なのに、」と人を恨んでいる人はたいていこのオオカミと同じである。自分が人にしている酷いことには気がついていない。