3. 幸せであることと、幸せに気付くことは別である(「ねばり」と「もろさ」の心理学)

『「ねばり」と「もろさ」の心理学―逆境に強い人、弱い人』より

ぜいたくは、与えられたものに自分の力を使うことの幸せに替われるものではない。そして自分の力を使うことで人は自分に誇りを持つのである。彼も遊びにおいてさえ子供から困難を奪うのは親切ではないと言う。

だからこそ社会的に成功している人が必ずしも自分に自信があるわけではなく、また社会的にあまり成功していない人が自分に誇りを持ち自信を持って生きているということが出て来るのである。

だからこそ要領のいい人、ずるく立ち回る人が出世しても必ずしも自信があるわけではなく、また幸せではないのである。自分に自信のある人は外からどう見えても地道に努力をしているのである。要領のいい人、ずるく立ち回る人が出世してもそれほど羨ましく思うことはない。

他人の成功に気をとられて自分の幸せに気がついていない人が多い。どうも幸せであることと幸せに気がつくということは別のようである。そして気がつくということは正しく理解することと関連しているように思う。

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