金のライオンを見つけた人

臆病なよくばりが、金のライオンを見つけていいました。
 
「私はいま、自分の立場が分からなくなった。考えがつかなくなって、どうしていいか分からない。物が欲しい心もちと、臆病な生まれつきが私をまよわせている。どういう運命かどうか神さまが、金のライオンなんかを作ったのだろう。今これを見て、私の心の中では、3つの考えが争っている。金がほしくもあるし、金でできたものが怖くなるときもある。手をだしたい気もちもあるが、本当は手をひっこめたいのだ。運命は、これをくれておきながら、手にとってはいけないという。楽しみのない宝物だ。神さまの恵みがめぐみでないのだ。どうしよう。どうやってとりかかろう。どういう工夫をしよう。家へ帰って召使いをここへよこし、大勢でやっつけてとってこさせよう。そうして私は遠くのほうから見ていよう。」 

金のライオンは成功であり、昇進である。世の中には昇進して鬱病になったり、昇進して自殺する人もいる。成功したいけど成功が怖いのである。
 
このご主人は召使にとりにいかそうとしている。しかしこのようにしてやったものは身につかない。召使にとりに行かせたものはご主人のところにはこない。ご主人はそれに気がついていない。