はげ頭のウマ乗り

はげ頭の人が、ひとの毛でつくったかつらをかぶってウマに乗っていました。風が吹いてきてそのかつらをとばしたものですから、そこにいあわせた人たちは大笑いをしました。するとその人は、ウマをとめていいました。
 
「私の髪でもないものが私の頭からにげたって、なんの不思議があろう。せっかく生やした人の頭からさえ、はなれているのだもの。」

取り乱さない。この位の言い方が出来るほどの度胸が大切。人間は必ず恥ずかしい思いをする。弱点や恥ずかしいことがあるのは誰も同じである。
 
それをここまで言える勇気、強さがあればオドオドしないで生きて行かれる。それを弁解すればするほどおかしくなる。弁解すれば、「嘘ばっかり」と言われるのが関の山である。それに対して開き直りの強さには返す言葉もない。
 
これを変装と思えば、楽しい。楽しいなと思えば、こんなときには「あー、ばれたか」で終わる。しかし隠そうと思えばうろたえる。楽しみを持って生きて居る人の方が強い。
 
大切なことは「弱点や恥ずかしいことは誰にでもある」ということである。他人の弱点を大げさに笑う人は自分の弱点を必死で隠している人である。