どんなことからも立ち直れる人</br>逆境をはね返す力「レジリエンス」の獲得法

どんなことからも立ち直れる人
逆境をはね返す力「レジリエンス」の獲得法

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 レジリエンスとは、小さい頃の環境から期待されるよりも、高いレベルで心理的に機能する能力である。
 あるレジリエンスのある女性の話である。
 彼女は小さい頃、失業中の父親に殴られて、父親は逮捕された。父親は酔っ払っていた。
 母親は慢性的にうつ病だった。
 その女性にインタビューしたアンソニーと言う人は驚いた。
 そのフレンドリーな態度、インタビューの間の落ち着いた信頼感のある態度などに驚いた。インタビューしたアンソニー自身の気持ちを楽にしてくれた。
 なぜ、人はこんな人になれるのか。
 なぜレジリエンスのある人は、自分は愛に値するという深い確信を持っているのか。
 なぜ彼らは地獄に生まれたのに、充実した意味ある人生を掴んだのか。彼らは自らの地獄の体験をどう解釈し、どう対処して不屈の力を獲得したのか。
 なぜ彼らは地獄の場所を逃れ、もっと良い場所を探すことが出来たのか。自分の人生について、レジリエンスのある人はどういう認識をしたのか。
 この本は、その「なぜ」を学ぶ。
 父親は統合失調症、母親は自分を拒否している。でも彼女は幸せを掴む。彼女は、自分の人生をどう解釈していたのか?

 どのように人生を解釈していたから、凄いストレスの環境の中で積極的感情を奮い起こすことができたのか。
 なぜ厳しい現実に屈服しないのか。なぜ乗り越えることができたのか。

 レジリエンスの研究者Higginsは、地獄の試練は人を殺すか、人を猛烈に強くするかと言う。
 猛烈に強くなって素晴らしい人生を生きるか、殺されて意味ある人生を終わりにするか。

 ヒギンズは、父親の虐待に苦しめられるダンと言う少年に「あなたは自分に誇りを持っているか?」と問うている。殺されると思って必死に逃げている彼は自分を「誇りに思っている」という。
 ダンを恐ろしい虐待から救ったのは何であったか。恐ろしい虐待を癒してくれたのは何であったか。
 4歳の時から殴打で殺されると思って逃げていたダンは様々な困難に遭遇する。そして最後には「大洪水のような残虐さに打ち勝つことが、ダンを異常に強くした。」
 ダンは、様々な困難に遭遇する。地殻の変動の様な残虐さを切り抜けたことが彼を異常に強くしたと言う。
 大洪水のような残酷さで、彼は殺されるか、強くなるかで、強くなった。
 そして彼は自分に誇りを持った。
 何が自分を強くするかという点を間違ってはいけない。
 困難を乗り越えるだけでなく、さらに成長を続けると言うことはどういうことか。
 彼らがいかにして不死鳥のように蘇るか、彼らが自分の心を捧げたものは何だったのか。
 同じ野蛮な親なのに、挫折していく人達とどこが違ったのか。彼らの生きる態度のどこが、悩んでいるだけで問題解決に向かって戦わなかった人と違ったのか。
 道を切り拓くとはどういうことか。
 レジリエンスのある人は、どう困難を認識したから問題を解決出来たのか。
 要するにどうして逆境に飲み込まれなかったのか。
 彼らは逆境から何を学んだのか。
 レジリエンスのある人は自分をどう認識していたのか?
 なぜ極限まで厳しい状況の中で人生を頑張って生きていけたのか。
 なぜ自分の存在を確かなものと感じることは出来たのか。
 この追い詰められた事態に、彼らは自分の方から働きかけると言う態度である。そして戦っている自分に誇りを持っている。
 彼らは困難をどう考えて、どう乗り切ったのか。
 この本ではその考え方を学ぶ。
 「駄目に決まっているという」うつ病者の視点からレジリエンスの視点に変える。認識を広げる。
 なぜレジリエンスのある人は自分で自分を「奮い立たせる」ことができるのか。
 レジリエンスのある人の特徴を何か。
 その一つは自分で自分を励ますことである。ヒギンズはSelf-propelledという言葉を使っている。
 要するにレジリエンスのある人は自家発電機を持っている。常に自家発電をしている。
 彼らはThey seize the day.
だという。実に見事な言葉である。
 今日をつかむ。過去に囚われない。

 世の中には「幸福を得る力をも捨ててしまった人」がいる。
 そういう人は、レジリエンスを学ぶことを通して「幸福を得る力」をもう一度獲得することが重要である。何よりもレジリエンスの育成を心がけることが必要である。

 人生は毎日がピンチ。人生は困難の連続。それをどうしたら乗り越えられるか 
自分にだけ安易な方法はない。悪いことばかり起きる人の特徴は、自分にだけ安易な方法を求めていることである。
 レジリエンスの著者のヒギンズは、彼らの驚くべき力を強調している。
 彼らの最大の特徴は強さである。著者は、彼らは地獄で成長したから強いのだという。
 なぜ彼らは地獄に生まれたのに、充実した意味ある人生を掴んだのか。彼らは自らの地獄の体験をどう解釈し、どう対処して不屈の力を獲得したのか。
 なぜ彼らは地獄の場所を逃れ、もっと良い場所を探すことが出来たのか。自分の人生についてどういう認識をしていたのか。
 地獄で成長したから強くなる人と、地獄で成長したから捻くれる人、弱くなる人と居る。その境目は何だろうか。
 Higginsの論文に、レジリエンスのある人は困難に「噛み付く」とか「Bouce up飛び上がる」と言う言葉が出てくる。
レジリエンスを学んで、困難に「噛み付く」人間になる。レジリエンスを学んで、心に何かが湧いてくる。
 どうすれば人生は拓けるのか。この本に登場する様々なレジリエンスのある人達から学ぶ。
 レジリエンスのない人は、人生の何処で間違えたのか。

 なぜレジリエンスのある人は地獄の場所を逃れ、もっと良い場所を探すことが出来たのか。自分の人生についてどういう認識をしたのか。その「なぜ」を学ぶ。
 ダンと言う少年は、地殻の変動の様な残虐さを切り抜けたことが彼を異常に強くしたと言う。「註、Ibid., p.64」.
 洪水のような残酷さで、彼は殺されるか、強くなるかで、強くなった。
 そして彼は自分に誇りを持った。
 著者は、虐待に苦しめられるダンに「あなたは自分に誇りを持っているか?」と問うている。彼は誇りに思っているという。

 皆、状況は極限まで厳しい。しかし戦っている自分に誇りを持っている。
 そこが犠牲者を演じて、悩んでいる人とどこが違うのか。

 逆境に弱い人と逆境に強い人とでは、どう事態の認識が違うのか。どう自己認識が違うのか。
 困難を乗り越えるだけでなく、さらに成長を続けると言うことはどういうことか。
 最高の自分は今の自分ではない。
 最終点の幸せに向かう経過と捉えれば、どんな行動にも意味がある、これが、レジリエンスのある人の考え方である。
 そう思えば逆境から立ち直る行動を続けられる。
 彼らがいかにして不死鳥のように蘇るか。
自分の心を捧げたものは何だったのか。
 同じ野蛮な親なのに、彼女の人生を生きる態度のどこが、挫折していく人達と違ったのか。
 道を切り拓くとはどういうことか。

 落ち込んで憂鬱になり、もう立ち上がれなくなっている人は、この本を読みながら、「この本の著者は、頭がおかしいのではないか、生きるのが辛いと言う体験を何もしていないのではないか、だからこんな馬鹿みたいなレジリエンスのことを書いているのではないか」と思う人も居るかもしれない。
 レジリエンスなどと言うことを書いている人は、人の苦しみなど何も理解出来ない、頭のおかしな人と思うかもしれない。
 でも騙されたと思って読んでみる。

 レジリエンスと言う言葉は日本ではあまり聞き慣れない言葉であるが、アメリカではかなり著作も、論文もある。

 ヒギンズの著作にShibvon と言う女性が載っている。Shibvonは常に、逆境を乗り越えることを考えて居た。常によりよい人生をめざして頑張っていた。
 レジリエンスのある人は危機を乗り切る時に、プロアクティブな態度で、尋常ならざる能力を示す。
 プロアクティブであることによって、環境に溶け込んでしまわないで、適応する。
 何か望ましくないことが起きたときにも「こういう経験も自分の人生には必要だったのだ」と考えることで、絶望から免れる。そう考えるから前向きになれる。
 この不愉快な経験も、自分が幸せになるためには通らなければならない関所であると考える。
 レジリエンスのある人はどう問題を解決したのか。
 要するにどうして逆境に飲み込まれないのか。
 始めに、このプロアクティブな態度について考えていく。

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レジリエンスの正しい解釈を(2021.01.05)

出版社: PHP研究所 (2019/11/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4569845533
ISBN-13: 978-4569845531

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