57. 愛さない人は愛されない(『愛されなかった時どう生きるか』)

『愛されなかった時どう生きるか』より

欲求不満な人間はいったん親しくなると、生身の相手の許容量をはるかにこえたものを求めはじめる。
 
人間が精神的に成長するためには、愛されることが必要である。肉体の成長には酸素が必要なように、情緒の成熟には愛が必要である。
 
孤立してしまう欲求不満な人は、その愛が十分でなかったのである。そこでついつい愛されることばかり求めてしまう。
 
どうしても利己主義になってしまう。与えることより与えられることを求めてしまう。相手を理解することより理解されることを求めてしまう。
 
しかしどこかで方向転換を思いきってしないと、必要な愛が得られない。
 
人間は愛されなかったがゆえに愛を必要とする。しかし愛を必要とするがゆえに人々から愛されなくなってしまう。
 
不幸な人は一生不幸でありつづける傾向にある、ということはこういうことである。
 
親に愛されて育った人は、ことさら他人から、注目や絶対の愛を求めない。要求がましくもないし、相手にできることしか相手に求めない。
 
従って、人々に愛される。そのような人と一緒にいると楽しい。

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