45. 対人恐怖症は自分恐怖症である(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

自分が実際の自分に怒っている。弱点のある自分を自分が許せない。どうしても理想の自分でありたい。もっともっと社会的に成功し、もっともっと皆から尊敬される自分でなければ気がすまない。自分が自分の弱点に耐えられない。
 
そんなときにその許しがたい自分の弱点に他人も怒りを感じるのではないかと恐れるのは当然であろう。だからその弱点を隠そうとするのである。
 
他人からの怒りが怖い。だから他人に理想の自分を演じている。対人恐怖症というのは自分恐怖症といってもいいかもしれない。自分が自分に対して恐れている。それは恐れるべきほど自分に自分が怒っているからである。他人がそれと同じほど怒れば怖くて仕方がない。
 
自分の弱点が相手を怒らせないかとびくびくしている人がいる。そこで他人にいつも迎合する。相手が自分の弱点を気にしているわけではなく、自分が自分で気にしているだげなのである。いつもいらいらしている人は自分が自分の弱点に怒っているのである。自分が実際の自分を許せない。相手が自分を許せないわけではない。

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