19. 傷をなめ合うつき合いはやめなさい(『「やさしさ」と「冷たさ」の心理』)

『「やさしさ」と「冷たさ」の心理』より

甘えている人とか、劣等感の強い人というのは、本当は自己実現をしている人とつき合うことが大切なのである。自己実現している人によって、ありのままの自分を受け入れてもらうことが、その人の成長には必要である。

自己実現している人は、岩が固いということを受け入れ、木が緑であるということを受け入れるように、つき合う人の幼稚さを受け入れる。にもかかわらず。甘えて劣等感の強い人は、自分を拒否する人のところに行ってしまう。

自己実現をしている人は、こんな愚行をおこなわない。時に二人だけで、大したことでもないことをオーバーにほめたたえ合う、などということはしない。こんなことは、しょせん一時の気休めにしかすぎないのである。また、自己実現している人は、自分の劣等感を隠すために、他人をやたらに非難したりはしない。「あの人達、程度低いのよ」と周囲の人を非難してみたところで、傷ついた自尊心が回復するわけではない。一時的にはいやされても、本質的にはむしろいよいよ傷を深くしてしまうだけである。