クジャクとツル

クジャクがツルを軽蔑している。「私は金やむらさきの着物をきているのに、おまえは羽にきれいなところがちっともないじゃないか。」とツルの羽の色を馬鹿にした。
 
すると、ツルは言い返す。「ツルは、夜空に高く飛んで星のすぐそばまで行き、星に歌を聞かせたり、昼も大空高く飛び、楽しむ事ができる。クジャクなんかは、ニワトリのように、ヒヨコと一緒並んでに地べたをよたよた歩いているだけじゃないか。」

この様に言い争っているときにはどちらも幸せではない。相手の足りないところをけなすときには、その人の心が満たされていないときである。
 
甘いおまんじゅーを食べている人が、塩せんべーを食べている人を見て、「そんな塩っぽいものを食べてどこがいいの?」と言ったときには、塩せんべーが気になっている時である。甘いおまんじゅーを食べて満足している人は、塩せんべーをけなさない。

だいたい自分の欠点を認めればそれを補う人が周りに集まる。そしていろいろのことがうまく行く。その欠点を認めないと、その人と同じ種類の人が周りに集まる。それは端から見ていて何ともみっともない集団である。
 
自分の欠点を認めない人は、その欠点が自分にないと思ってくれる人を好きになる。そしてそういう人は、たいていその欠点のある人を利用しようとしている人である。

ところでもしツルがクジャクのように美しさで空を飛んだらたちまち狙われて撃たれる。クジャクはツルの羽を馬鹿にするが、これがツルを守っているのである。人が自分の何かを馬鹿にしたらそれが自分の長所であり、自分を守っていると気付くことである。