どんぐりは樫の木になる
好かれたい、愛されたい、褒められたいから人は自分の本性を裏切る。
ウルフの挙げている例を述べたい。どんぐりは樫の木になる。オタマジャクシはカエルになる。「註、Beran Wolfe, How to Be Happy Tough Human, 周郷 博 訳、どうしたら幸福になれるか、上巻、岩波書店、1960年。29頁」。
それなのにオタマジャクシがカエルになることを拒否すれば生きて行かれない。
ウルフは女の子供が父親に気に入られようとしてゴルフをして男の子になろうとする症例をあげている。そうした女の子はノイローゼにならざるを得ない。
そしてこのように自分を裏切り続けるから何をしても面白くない。自分を裏切ることを止めさえすれば道は開けるのである。
もう一度イソップ物語風に説明をしてみる。
自分がネコであることをしらないネコが犬のまねをしました。しかし、犬のように楽しく遊べませんでした。
そこで、猫は狐のまねをしました。やっぱり面白くありませんでした。
そこにネコがきました。ネコのまねをして遊びました。すると今度はとても面白く遊べました。「ネコさんはいいなあー」とネコは思っていました。
「良い子」も実際の自分に気がつけば道は開けるのである。
「自分が何をしなければならないか、これが重要である。人がどう思うかではない。現実の生活においても知的生活においてもこの規則は、偉大さと卑しさを分けるものである」とアメリカの心理学者シーベリーも言っている。
悩んでいる「良い子」は他人の期待に「私はそう言う人間ではありません」と言う一言が言えない。シーベリーは悩んでいる人は「私はそう言う人間ではありません」と言う一言が言えないと言う。
「良い子のネコさん」も一言、「私は犬ではありません」と言えれば救われるのである。