無理しない練習

無理しない練習

好かれているのに嫌われていると思い込んでいる人がいる。
尊敬されているのに、なめられていると思い、傷ついている人がいる。
他人から見ると「それ」はその人の長所なのに、その人は「それ」を弱点と思って隠そうと必死になっていることがある。
この本では人々のいろいろな勘違いの心理について書いた。
無理しないほうが愛されるのに、人々は愛されようと無理をする。
無理をして辛い思いをして、かえって好かれない結果に終る。
周囲の人の心を読み違えることは本当に不幸なことである。
好かれるために辛い努力をして、その結果逆に嫌われたりするのである。

被害妄想という言葉がある。
被害妄想とは被害を受けていないのに被害を受けていると思っている心理である。
同じように被責妄想ということを私は言っている。
相手から責められていないのに責められていると感じてしまう心理である。
相手を見て、相手の現実が分かれば、相手が自分を責めていないという事が分かる。
しかし勘違いする人は、相手の現実がなくて、自分の現実だけが唯一の現実である。
相手に対する思いやりがゼロであると同時に相手の現実がゼロである。
相手が何を考えているのか、相手が何を感じているのか、相手が何を言おうとしいているのかは、全くない。
すべて自己中心的に解釈する。「私は責められた」と感じれば、責められたのである。
これも全く現実にコミットしていない。

私は被嫌妄想ということを言っている。嫌われていないのに嫌われると思い込んでいる心理である。
この本は弱点が現れることを恐れる被嫌妄想の心理について書いたものである。
被嫌妄想の心理に捕らわれると、弱点が現れると嫌われると思い込む。
弱点があっても嫌われないのに嫌われると思い込んでいる人々の何と多いことか。
人間というのは、無理をしないで素直な気持ちでいると、その人が気がついていない「その人の良さ」が自然と現れる。
無理をするからその人の良さがかえってなくなってしまう。辛い思いをしながらかえって自分の良さをなくしているのである。
無理をしないで生きていれば、皆から愛される人生を送れるのに、無理をして独りぼっちになる。
辛い努力をしてかえって皆から敬遠されて淋しい人生を送る人がいる。
被害妄想の心理も人を不幸にするが、それ以上に被嫌妄想の心理の方が多くの人を不幸にしているような気がする。

この世の中には、誰もその人を劣っているなどと思っていないのに、一人で勝手に「自分は劣っている」と劣等感をもって僻んでいる人の何と多いことか。
自分で自分を軽蔑している人は自分の歩んできた道を不満に思っている人である。
実際は、自分が歩いて来た道は立派な道なのに勝手に自分で卑下している。その満足していない自分を見て自分が自分を駄目だと思う。

現実と関係なく、想像の世界で、一人で悩んで一人で疲れていく人がいる。
被嫌妄想の人にしろ、被蔑視妄想の人にしろ、この本では現実にコミットすることなく、独りよがりの想像の世界で生きることの恐ろしさを書いた。[15/05/19]

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「無理しない」
――それは、自分らしく、楽しく生きるすすめ

無理をしている人は、好かれたい、ほめられたくて、
「理想の自分」を演じようとする。
でも実は、自分の弱点を隠すから、
自分の長所を信じられなくなるのである。
ありのままの自分を認め、そして受け入れること。
無理をしないで素直な気持ちでいると、
その人の気がついていない「その人のよさ」が自然とあらわれる。
皆から好かれる人生を送れる。

弱さを出すと、「自分の魅力」に気がつける。
自然と人望が集まる人、敬遠される人
自分だけが持っている、「人から嫌われる何か」
「心からの親友」を見つけるヒント
「嫌いな人」は自分を映す鏡
「好かれること」は、実はそんなに大事なことじゃない
弱点のある人ほど、人生を楽しめる

誰にでもある「心の弱さ」をもっと出しても大丈夫。
今よりずっと「自分の魅力」に気づく本。

出版社: 三笠書房 (2015/5/22)
mmISBN-10: 483798343X
ISBN-13: 978-4837983439

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