人間は苦しむことによって精神的に深められるのだと思う。
私は人間を生まれついての身分や、あるいは地位よりも、その「深さ」でその人を評価したいものだ。もちろん、苦しみにくじけてしまった人間はこのかぎりではない。
人間は苦しみを通して人生が見えてくる。苦しんで苦しんでその谷の底に頭を突き当てた時、人生への神聖な面がハッキリと見えてくるのではなかろうか。
人間は人間性にそって努力することが大切だ。誰にでも、むき、ふむき、というのがある。自分にむいているものをさがすことだ。
自分にふむきなことを、体裁やその他のことでえらんで、やって、いやな努力を毎日して、結局、「やっぱり自分はダメだ」と思う人もいるだろう。
しかし、そういう人も、自分にむいたことをやれば、毎日が楽しく、充実して、自信ができてくるにちがいない。自分にむいたことをやって、毎日が楽しければ、その分野で成功しなくても、人生の成功者だと僕は思う。
他人は自分が考えているほど自分のことを問題になどしているものではないし、また逆に、人の噂をするのが好きな私達が考えるほど、他人の行動には動機があるわけでもない。世の中には、問題にしなければ問題にならないような事件というのが、あまりにも多すぎるのだ。
大変な事のような気がしているが、それは実は、単に皆が問題にしたからであって、問題にしないで通りすぎれば、なんでもないことがあまりにも多い。
自分はちぢれ毛であると気にしているが、実はそれほどのちぢれ毛ではないかも知れないし、また、自分がちぢれ毛であったとて、他人はそんなに自分のことを気になどしてはいやしない。