加藤諦三の言葉 第51回 [2001/11/24]

無理しないほうが愛される理由
無理しないほうが愛される「自分の魅力に気づく心理学」 (P.3-P.5)
(三笠書房)

 好かれているのに嫌われていると思いこんでいる人がいる。尊敬されているのに、なめられていると思い、傷ついている人がいる。
 他人からみると「それ」はその人の長所なのに、その人は「それ」を弱点と思って隠そうと必死になっていることがある。
 
 無理しないほうが愛されるのに、愛されようと無理をする。無理をしてつらい思いをして、かえって好かれない結果に終わる。そしてなんと多くの人が相手の心を読み違えて、無益に苦しんでいることだろう。
 
 人間というのは、無理をしないで素直な気持ちでいると、その人が気がついていない「その人のよさ」が自然と表われる。無理をするから、その人のよさがかえってなくなってしまう。つらい思いをしながら、かえって自分のよさをなくしているのである。「無理しないほうが愛される」ーこれは自分の弱点を必死になって隠し、虚勢を張って生きてきた私が、いましみじみと感じていることである。
 無理をしてしか好かれないような人は、好かれないほうが幸せである。好かれようと無理をしているうちに、もともと備わっている自分の価値に気がつかなくなってしまう。
 本書は、その重要な問題に取り組んだ本である。自分の弱点を隠して人前で理想の自分を演じようと必死になっている人は、「幸福に適した素質を持ち合わせていない人」である。この本では「幸福に適した素質を持ち合わせていない人」がどうしたら「幸福になりやすいたち」に変われるのかを考えた。



愛される生き方愛されない生き方
無理しないほうが愛される「自分の魅力に気づく心理学」 (P.17-P.18)
(三笠書房)

 ふとり気味で元気な人がいる。やせていてエネルギッシュな人がいる。ふとり気味で長生きする人がいる。ふとめが体に合う人もいるし、細めが合う人もいる。
 体重にセット・ポイントというのがある。その人にもっとも適した体重のことである。
 ダイエットなどして無理に自分のセット・ポイントよりやせようとすれば健康によくない。セット・ポイントよりやせても体に悪いし、セット・ポイントよりふとってもよくない。同じように、人はそれぞれ自分が生きていて、もっとも快調である自分というのがある。つまり体のことばかりではなく心理状態をも含めて、人にはその人のセット・ポイントというのがある。
 その人の身長というのがあるように、その人の能力というのもある。その人の適性というのもある。その人の顔というのがあるように、その人の性格というのもある。人それぞれ違うのは指紋ばかりではない。好きなことも違う。
 ところがこれを無視して「こうあるべき自分」というのにこだわりだす人がいる。
 その現実の自分のできることとできないことを無視して「こうあるべき自分」にこだわる。「こうできない自分」を責める。「こうできない自分」を憎む。「こうあるべき自分」に現実の自分を合わせようとする。「こうあるべき自分」はどこから出てくるのであろうか?一つには親の期待を内面化するところからであろう。もう一つは小さい頃の心の傷をいやすための自分である。深く傷ついた自尊心を回復するために必要な自分である。



現実の生活は天国でも地獄でもない
無理しないほうが愛される「自分の魅力に気づく心理学」 (P.44-P.45)
(三笠書房)

 他人が幸せな恋をしていると、その人を妬む。そんなに妬んでいるくらいなら自分でも恋人を探せばいいのにと思うのだが、妬んでいる人は、やはり恋人を探すよりも、ただ妬んでいる。妬んでジメジメした暗い生活のほうを選択する。
 好きな人ができれば、好きな人と一緒にいる楽しいときのことを考えないで、一緒にいられないつらいときのことばかりに注意を持っていく。
 以前「もう恋などしない」という主旨の歌がはやったことがある。こんなにつらい恋などもう二度としたくないというのである。確かに恋をすれば別れのつらさをはじめ、いろいろなつらさはある。楽しいだけの恋など現実の恋にはないであろう。
 おおかたの現実の生活はよいことばかりもないし、悪いことばかりもない。人は天国と地獄を分けて考えるが、現実の生活を考えるとそうなってはいない。天国の生活と地獄の生活というまったく違った生活というのがあるのではない。それは想像の世界とか、宗教の世界の話である。
 わたしたちが現実に社会のなかでしている生活は、ある面をみれば天国だし、別の面をみれば地獄だということではなかろうか。この世の中ではなかなか完全に天国だけの生活をするわけにはいかない。


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