加藤諦三の言葉 第41回 [2001/08/14]

仕事に満足する人、虚栄心に満足する人
「つらい努力」と「背伸びの心理」 (P.21-P.22)
(大和書房)

 本当にその人にとって、その会社で出世することが面白いという時もある。出世することが虚栄心の満足として自分に快適だというのではなく、仕事が面白くて、出世すればするほど仕事が余計面白くなる。まさにその会社で自分は仕事がしたいのだ、という人がいる。こういう人たちは忙しくても燃えつきない。燃えつきる人は仕事が面白くないのだけれども、威信を求めて背伸びしている人たちである。したくない仕事、負担の多すぎる仕事、それらを威信のために引き受けてしまう人である。
 少年時代、あるいは青年時代に神経症的自尊心に傷を負っていて、それでいてその傷ついた神経症的自尊心の回復として、その会社での出世が自分に安らぎをもたらすという人もいるだろう。こうした場合は、この人にとって何も今いる自分の会社で出世しなくてもいいだろう。その人はどこにいても、とにかく力を獲得し名声をかち得ればいいということになる。そうした人は自分のやっていることと自分の味わっている快適さとは直接的に関係がないといわなければならない。



なぜ燃え尽きるのか
「つらい努力」と「背伸びの心理」 
(大和書房)

 鬱病者のアイデンティティーとしてよく言われることは、役割アイデンティティーが強いということである。人格が役割に吸収されてしまう。役割において自分の存在や価値や意味を感じることができる。自我が弱いから役割でしか自分を感じることができない。だからこそ、その人にとって会社のポストがことのほか大きな意味を持つのである。役割あっての自分、そのような役割の意味の大きさがあってこそ、彼のしていることは理解できる。だからこそ、たとえば部長になれば猛烈に働く気になる。しかし、頑張っているけれどもすぐに気力がなくなり、消耗するばかりになる。このようになると燃えつきる兆候だと言う。今の状況のなかで情熱が失われてくる。努力は何も生み出さなくなる。



自信がない人
「つらい努力」と「背伸びの心理」 (P.31-P.32)
(大和書房)

 自分に自信がないとは、人からこう思われるのが嫌だとか、人からこう言われるのが嫌だとかいうことである。私は浪人の頃、自分がクラス会に欠席したら皆に自分が大学入試に落ちたから欠席したと思われるのが嫌だから出席するというようなことがあった。これが自信がないということである。ある人が運動をやめた。そしてダイエットを始めた。その理由は運動をやめて人から太ったと思われるのが嫌だから、ダイエットを始めたのである。これが自信がないということである。ある人が犬を飼いたいと思った。ハスキー犬が可愛いと思った。しかし、人気のある犬だから飼ったと人から思われるのが嫌だから飼うのをやめた。これが自信がないということである。


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