加藤諦三の言葉 第266回 [2006/08/18]

利用される人は。
「相手の心の『表とウラ』が見える心理学」「三笠書房」


 
 利用される人は、相手が白衣を着ていると医者と思ってしまう。
このステレオタイプの発想が、ずるい相手には都合がいい。そこで胃が痛い時に、白衣を着て いる人に「胃の薬をください」という。
相手はコカインを渡す。そして相手を中毒にしてしまう。  
相手が涙を流せば悲しいと思う人は、相手が陽気に笑えば陽気と思ってしまう。陽気に振る舞いながらも、その人は心の中で泣いているかもしれないとは思わ ない。  
利用される人は、相手の態度が陽気なら陽気なのである。この陽気さにはどこか不自然なところがあるとは思わない。自然に陽気な人も、麻薬のせいで陽気に している人も同じに見てしまう。  
次の文章は、コナン・ドイルの『恐怖の谷』の中の一節である。心身ともに非凡なジョン・ダグラスという人物に対する描写である。
「人柄は誰に対しても快活で陽気だったが、することにどこか投げやりなところがあって、サセックス州のいなかの社交界あたりよりもずっと低い水準の社会を 経験してきたことを思わせた」
 利用される人は相手の陽気さを見て、これは「どこか投げやりなところがある」と見抜くことができない。利用される人は推理小説を読んで、探偵が人を見抜 いていくところを学んだほうがよい。


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