加藤諦三の言葉 第262回 [2006/07/06]

なぜ「あー、あのとき」と悔やむのか。
「自分を変えたいと思った今が幸運のはじまり」「三笠書房」


   「もし失敗したらどうしよう」と考えると、怖くて新しいことに挑戦できないのである。また鬱病の病前性格である執着性格的な人にとっては新しいことをするのは性格的に困難なのである。
 積極的な人にとっては何でもないことが、執着性格的な人にとってはものすごい心理的エネルギーを使わないとできない。
 執着性格的な人は何をするにも心の葛藤を避けることができない。やろうかやめようかと悩む。その悩むことで疲れてしまう。さんざん迷って悩んだ末に、疲れ果てて結局はしない。
 なぜ迷って悩むかと言えば、あれも欲しい、これも欲しいと欲張るからである。両方欲しいから迷って悩む。自分の欲が自分を滅ぼす。
 そしてあとで、あのときにあれをしていればと後悔をする。あのときにあれをしなかったということを、さんざん悔やむ。悔やんでばかりで時間を無駄に過ごす。
 悔やんでばかりで時間を無駄に過ごすばかりでなく、その過ごしている時間がまた辛い時間なのである。「あー、あのとき」と悔やむから、辛い。無駄なだけではなく、辛い時間になる。
「チャンスをつかんでいれば自分は成功したのに」と思うからである。鬱病的な人ばかりではなく、神経症的な人も、自己軽蔑視の激しい人も、成功を激しく望む。富や名誉を強迫的に求める。
 つまり「あのとき、ああしていれば」、求める名誉や富が容易に手に入ったと思うから激しく後悔するのである。頭を抱えて、「あー、あのときに実行していれば」と悔やむ。だから胸が痛む。ふつうの人には想像もできないほど辛い。



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