加藤諦三の言葉 第18回 [2001/1/25]

自分を好きにならなければ、他人のことも信じられない
自分に気づく心理学(P.145)
(PHP研究所)

 他人の心を理解できない者はまた、他人を信じることができない。他人が実際に自分に好意を持っていても、その他人の心を感じとる能力がない。神経症者は自分の心を他人に投影し、それを実際の他人と錯覚する。ありのままの他人をじかに見ることができない。
 自分が自分を好きでないのだから、他人が自分を好きであるということが信しられないのはあたりまえかも知れない。他人の「好き」という言葉に安心できないし、信じられない。そういう人は自分が自分を心の底では嫌いなのである。そして自分が自分を嫌いだという自分の感じ方から眼をそむけている。いわゆる抑圧である。
 そして抑圧したものを他人に投影する。つまり他人は自分を嫌いだと思う。そこで「好きだ」と言われても何となく信じられない。自分に自信がないという人も、心の底の底で自分を嫌いつつ、その感情から眼をそむけている。
 そのような人は、どんなに社会的に名誉を得ても、どんなに他人の好意に接しても、他人の言うことを信じることはできない。表面的には他人の好意は分かる。しかし心の底の底で自分を嫌いな以上、どうしても最後のところで他人の好意を信しきれないのである。
 他人の好意を表面的に分かっても、信じきれない人は、自分を心の底で嫌っているのではないがと反省してみることである。他人の好意を得ても、いつその好意を失うが不安でな小ない人も同じである。他人の好意が何となく居心地わるいという人も同じである。



人望が厚い人間は、ありのままの自分をさらけ出している
自分に気づく心理学 (P.148)
(PHP研究所)

 あなたは自分の何を他人に隠そうとしているのか。あなたは自分の何が他人に知られることを恐れているのか。
 あなたは心の底で自分に自信がないことを知っている。心の底で自分に失望している。しかしそのことを他人に知られたくない。そのことを他人に知られたくないから、他人にはいがにも自信がある「ふり」をする。
 しかし、だからこそ他人に嫌われるのではなかろうか。他人に好かれるか嫌われるが、親しくなれるが、なれないがは案外単純なことなのである。実際の自分を他人に知られたくなくて、隠そうとする。そして心の底で感じている実際の自分と違った自分を、他人に印象づけようとする。そうすることで嫌われることが多い。
 心の底にある幼稚な自分の願望を他人に隠そうとする。なぜ隠そうとするかといえば、知られたら軽蔑されるのではないかと不安だからである。心の底にある自分の幼児的願望を相手に知られたら相手から拒絶されると思って必死に相手から実際の自分を隠す。実際にはそのことによって相手から好きになってもらえないのに、その人はそれによって好かれると錯覚している。
 実際の自分を隠す人は、隠すことで好かれようとしながら、逆に嫌われているのである。心の底で自分に自信がない人が、その自信のない自分を他人と自分に隠さなければ、他人と本当に親しくなれることが多い。親密になるということはそういうことであろう。



いい人を演じるのではなく、もっと楽に素直に生きる
自分に気づく心理学 (P.195)
(PHP研究所)

 我執のつよい親はいつだって子供に失望し、不愉快になる。我執のつよい親に失望されない子供などこの世の中に一人もいない。
 それなのにあなたは親に失望されて、その夜ベッドのながで、自分は世界で最もわるい子だ、と考えた。我執の親を肯定して目然な自分を否定した。
 その時あなたは親に向ける怒りを自分に向けた。そして親の前で「立派な子」「立派な人」を演しつづけてきた。その時否定すべきだったのは親の支配性だったのである。
 今からでも遅くはない。自分はそんなに「立派な人」ではないのだと認めることから出発するしかない。自分は立派な人間だという自己像にあなたがしがみつくのは、あなたが自然な感情で生きていないからである。
 あなたは「立派な人間」という自己像を大切にして生きてきた。もしがすると命より大切にして生きてきた。そしてその大切な自分のイメージを捨てることは死ぬほど難しいことかも知れない。
 しかし今あなたは生きかえろうとしているのである。だがらその大切にしていた自分のイメージを捨てるしかないのである。「大切にしていた」というと言葉はよいが、「しがみついていた」といったほうが適切なのである。それにしがみついて死のほうに流されてきてしまったのである。
 だからこそ、今までしがみついていたその自分のイメージから手をはなすことなのである。


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