22. 自分のウソに気づけば、いい人間関係になる(『「やさしさ」と「冷たさ」の心理』)

『「やさしさ」と「冷たさ」の心理』より

自分がいっていることのウソに自分が気づけば、ほとんどのことはうまくいきはじめる。人間関係がうまくいかないとか、恋人がなかなかできないとか、友達がどうしてもできないとか言っている人は、たいてい自分の言っていることのウソについて自分で気づいていない人である。

たとえば「私は、自分の恋人には心のやさしい人がいい、と言っている」と言う人がいる。これはそれほどむずかしい条件ではない。大金持ちで、美人で、身長がいくらで、バストがいくらでとなればむずかしいだろうが、心のやさしい人はかなり世の中にいるのだから、出会いの機会はかなりある。

もし、その人が本当に「外見なんかどうでもいい、それよりも心のやさしい人がいい」と思っていれば、そのような恋人は案外できる者である。ところが、「心がやさしければそれでいい」と言いながら、どうしても恋人ができないという人は、自分の心の底を見つめてみる必要があろう。(中略)

口では、「性格さえよければ」と言いつつ、なかなか相手の見つからない人は、たいてい自分にウソをついている。「性格さえよければ、あとは特別に条件などない」という言葉自身も、皆に「高慢な人だ」と思われたくないから言っている言葉かもしれない。

うぬぼれていると思われるのが嫌だから、一見、謙遜に思えることをいっているにすぎないということがある。そうだとすれば、自分の言葉すら失ってしまっているのである。