心理的健康について 第42回 [2001/11/13]

第7章 神経症者の要求の特徴4(14)

  現実から目をそらしたくなったら何か一つでいいから、きちんと毎日続けてすることである。先に書いたように植木鉢の花に水を上げるのでもいい。あるいは毎日百円を貯金するのでもいい。顔を洗ったときに洗面台をきれいに拭くのでもいい。クラシックを一時間聴くのでもいい。これを毎日続ける。
  歯を磨くのでもいい。「歯を白くしたい」と思い、歯を磨き始める。ていねいにていねいに磨いて自分の歯を真っ白にする。こんなことでもいい。とにかく自分の身になることを毎日続けなさい。
 どんなことでも毎日続けることは大変なことである。そのくじけそうになる気持ちを持続させることが、達成感を生んでくる。
 神経症的傾向を直したいと思えば、まず日常の生活態度をきちんとすることである。日常のことをきちんとする。ベラン・ウルフが著書のなかで人間として成功する人は料理とか、縫ものとか、大工仕事とか、日常のことを知っておくべきであると書いている。

 毎日の積み重ねのなかで何かを感じる。例えば一年続ける。するとそこに達成感が生まれる。そして「こんな小さなことでもこんな気持ちがいいのだからもっとして見よう」と言う気持ちになるだろう。
 現実から目をそらすためにすることはたいてい非現実的に大きすぎることである。たとえ努力しても、たどり着けない。もともとたどり着けないことをしているから結果は失望の深刻化である。大きいことをするよりも毎日のことをきちんとすることである。
 毎日五分本を読むのでもいい。それを五年続ければ自分が変わってくる。毎日続ければ人は変わる。今していることを何年できるかである。今していることを五年できれば、それは心の財産になる。
 こうした生活をしているうちに自分にふさわしい人生の目的が見つかってくる。きちんとした日常生活をないで人生の目的を見つけようとするから見つからないのである。



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加藤諦三、加藤諦三研究室