心理的健康について 第75回 [2002/08/07]

第15章 行動と動機4(2)

 ある時、幼稚園の一室で子供が「空から砂糖が降ってきた」と言った。それを聞いて「ワー、バケツ持って屋上行かなくちゃー」と叫んで、バケツを持って屋上に行った幼稚園の先生が居た。それを聞いて母親の方は子供を「うそつき」と言った。
 この二人の違いはどこから出てくるのだろうか。先ず母親は子供に関心がない。先生は子供に関心がある。母親は「この子」に興味がないから子供が自分に語りかけてくれたことに喜びがない。  この子供は話の内容はどうでも良いのである。そこに居る人と心が触れたかった。先生は、なぜ子供はそんなことを言ったかと言う動機を重視した。
 子供は「ふれたい」と言う気持ちから、砂糖が空から降ってきたと口から出任せに言ったのである。その触れたいという気持ちを汲んでくれた先生と、言ったことの内容を問題にした母親との違いなのである。もちろんこの子は、この先生が好きで自分の母親が嫌いである。

 子供がテストで零点を取ってくる。神経症的母親は、「どうして頑張らないのよ、あなたが困るのよ」と怒る。これは励ましではなく、脅しである。このように脅したり、不安にさせて人を動かすことは出来る。しかし後に憎しみが出る。
 心理的に健康な母は、零点の答案を持ってくる子供の気持ちを考える。そしてその子の心の傷を汲み取って、「隠さないでよく持ってきたわねー、今度から頑張ろうね」と慰める。隠さないことはいいことと言う教育もできてしまう。



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加藤諦三、加藤諦三研究室