心理的健康について 第71回 [2002/07/02]

第14章 行動と動機3(2)

 相手を騙すために嘘をつく人もいれば、自分を飾るために嘘をつく人もいれば、尊敬されたくて嘘をつく人もいれば、愛を求めて嘘をつく人もいる。
 真面目な人が嘘をつくことも多い。執着性格の人は自分を守るために嘘をつく。愛情のある人は相手を守るために嘘をつくが、自分を守るために嘘をつくことはない。
 チャランポランな人は人を守るために嘘をつくが、自分を守るためにあまり嘘をつかない。執着性格の人のように真面目な人とチャランポランな人とどちらがいいのだろう。
 自分を守るための嘘と他人を守るための嘘とは同じだろうか。病人に死の病をを知らせない嘘もある。
 大学生がレポートを見せてあげる、あるいは友人の宿題をしてあげる。親切な場合もあれば、嫌われるのが怖い、好かれたいから見せてあげる場合もある。不安からの迎合の場合もある。何かあげないと友達になれないという自己無価値感からの場合もある。お世辞の場合もある。これらは自分を守るための行為である。しかし行動だけをとれば親切である。
 同じ走っていても、追いかけているのと、追われているのとでは全く違う。努力の動機を見ないで誉めるのはあまりにも表面的に人を見すぎている。17歳の犯罪事件の社会の評価がそうである。野球部で努力していた、テニス部で努力していたという。周囲の人は不安からの努力ということに気がつかないのだろう。
 「良い子」であるのも、自分を守るために「良い子」でいる人もいれば、大好きなお母さんにほめてもらいたくて「良い子」である人もいる。後者の「良い子」が社会的問題を起こすことはない。17歳の犯罪事件で親の手伝いをしていたという報道がある。意識していたか、無意識だったかは別にして親が嫌いだったに違いない。



BACK← →NEXT
「心理的健康について」目次へ戻る
トップページへ戻る

このページに掲載されている記事などの無断転用を禁じます。

Copyright (C) 2000-2006
加藤諦三、加藤諦三研究室