神経症型の人は「毎日少しずつよくなること」を待てない。だから魔法の杖を期待するのである。心理的に健康な人は何事においても「いくらかでもよくなること」で満足する。「急に完全によくなろう」ということを期待しない。今日少し悪くなっても、明日また少しよくなることがあればそれで満足する。
神経症型の人は何でも「すぐによくなる」ことを要求する。この薬を飲めば「スパットよくなる」ことを期待する。神経症型の人は病気ばかりではなく、他の領域についても「すぐ」に成果があがることを期待する。例えば神経症型のビジネスマンはこの企画で一発当てて一気に社内の注目を集めようとする。
何事も一気には良くならない。例えばくよくよする性格等も同じである。だからくよくよする性格を治そうと思いつつ、くよくよしてもいいのである。「まえよりも少しだけどもくよくよしなくなった」と思えれば、それでいいのである。一気にくよくよしなくなろうとするのが焦りの心理である。
先に書いた様に性格、病気、仕事に限らず「目標は、毎日少しずつよくなること」である。ところがこれが神経症型の人にはなかなか出来ない。日々の生活に満足がなく、心に焦りがあるからである。日々のしていることに達成感がないから、毎日心理的に追われている。
神経症型の人は自分自身の目標がないから焦るのである。ある人がキャベツをうえたとなると自分もキャベツを作ろうとする。別の人が釣りに行ったというと自分も釣りに行こうとする。自分自身の目標がないとこの様にいつも不安定である。
あいつが土地で儲けたと聞いては銀行から借金をしても土地を買おうとし、あいつがゴルフ会員権で儲けたと聞いてはゴルフ会員権を買おうとしたのがバブル経済の時代である。そしてバブル経済の崩壊と共に借金を抱えた。これが神経症型の人の生き方である。
あいつが株で儲けたと聞いて株を買おうとする生活をあらためないで焦りの心理をなくそうとしても無理である。そうした生き方からは日々の生活の満足はない。
今の若い女の人を見ていて、「これなら子育てでノイローゼになるわ」と思うことがよくある。とにかく自分からは何もしない。何か人がしてくれることをじっと待っている。どうして、自分から何かをしようとしないのだろうと不思議になるほど、何もしない。とにかく何から何まで人がしてくれることを待っている。
そして人が何かをしてくれなければ不満そうにしている。「これほど人から何かをしてもらうことばかりを当然のことのように要求している人が、突然何から何までしてもらわなければ生きていけない赤ん坊がそばにきたら、ノイローゼになるわ」と思う。